
マンションやアパートには、手すりや外階段、フェンス、門扉など、多くの鉄部が使われています。普段はあまり気にならない部分ですが、これらの鉄部は一年を通して雨風や紫外線にさらされており、少しずつ劣化が進んでいます。
特に夏は、紫外線による塗装の劣化に加え、梅雨やゲリラ豪雨による雨や湿気の影響を受けるため、鉄部のサビが進みやすい季節です。サビは見た目が悪くなるだけではありません。放置すると鉄そのものが傷み、補修だけでは済まず部材の交換が必要になることもあります。
今回は、鉄部のサビが夏に進みやすい理由や、オーナーとして確認しておきたいポイントについてご紹介します。
アパート・マンションの鉄部は夏にサビが進みやすくなります

鉄は、水分と酸素に触れることでサビが発生します。しかし、建物に使われている鉄部は、塗装によって保護されているため、通常はすぐにサビが発生するわけではありません。
問題となるのは、塗装が劣化したときです。
夏は一年の中でも紫外線が非常に強く、長年紫外線を浴び続けた塗膜は少しずつ傷み、ひび割れや剥がれが起こりやすくなります。そこへ雨水や湿気が入り込むことで、鉄が直接水分に触れ、サビが発生しやすくなります。
また、梅雨や夏のゲリラ豪雨は鉄部が濡れる時間を長くし、サビの進行を早める要因にもなります。
一度発生したサビは自然に元へ戻ることはなく、時間とともに少しずつ広がっていきます。そのため、夏は鉄部の状態を確認するのに適したタイミングといえるでしょう。
鉄部とはどんな場所のこと?

「鉄部」と聞いても、具体的にどこを指すのかわからない方もいるかもしれません。
マンションやアパートでは、次のような場所に鉄部が使われています。
・ベランダや共用廊下の手すり
・共用階段
・フェンスや門扉
・シャッターボックス
・屋上の手すり
・配管を固定する金具
・メーターボックスや扉
これらはすべて屋外にあるため、日差しや雨風の影響を受けやすい場所です。毎日見ている場所でも、小さなサビや塗装の剥がれは意外と気付きにくいものです。
点検しておきたい鉄部のチェックポイント

すべての鉄部を細かく確認する必要はありません。「普段から目にしているから大丈夫」と思わず、一度意識して確認してみることをおすすめします。
茶色いサビが出ていないか
最もわかりやすいサインが、茶色や赤茶色のサビです。点のような小さなサビでも、その下では腐食が始まっている場合があります。
初期のうちに補修できれば、工事の範囲を抑えられることも少なくありません。
塗装が剥がれていないか
鉄部は塗装によって守られています。塗装が剥がれて鉄が見えている部分は、サビが発生しやすい状態です。
特に角や継ぎ目は傷みやすいため、あわせて確認しておきましょう。
サビ汁が出ていないか
雨のあとに茶色い筋ができている場合は、内部でサビが進行している可能性があります。見た目だけで判断せず、気になる場合は状態を確認することが大切です。
サビを放置するとどうなる?

「少しサビが出ているだけだから、まだ大丈夫。」そう思って放置してしまうと、サビは少しずつ広がっていきます。
サビは鉄の表面だけで止まるものではありません。時間が経つほど内部まで腐食が進み、鉄部の強度が低下していきます。
例えば、初期の段階であればサビを落として塗装をやり直すことで対応できるケースもあります。
しかし、腐食が進行すると、鉄そのものが薄くなったり穴が開いたりして、部材の交換が必要になることもあります。そうなると、工事の規模や費用は大きくなってしまいます。
また、共用階段や手すりなど、人が日常的に利用する場所では、安全性にも関わります。
建物を長く維持するためには、「壊れてから直す」のではなく、「小さなサインのうちに対応する」という考え方が大切です。
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サビはどのように進行する?

鉄部のサビは、ある日突然ひどくなるわけではありません。一般的には、次のような流れで進行します。
①初期段階
塗装の色あせや小さな傷、茶色い点状のサビが見られる状態です。
この段階では、適切な補修によって劣化の進行を抑えられる可能性があります。
②中期段階
サビが広がり、塗装の浮きや剥がれが目立ってきます。
サビが広がることで塗膜の保護機能が失われ、さらに腐食が進みやすくなります。
③進行した状態
腐食が進み、鉄部が変形したり、穴が開いたりすることがあります。ここまで進行すると、塗装だけでは対応できず、部材の交換や大規模な補修が必要になるケースもあります。
もちろん、すべてのサビが同じスピードで進行するわけではありません。だからこそ、初期の変化に気付くことが重要です。
点検はどのくらいの頻度で行えばいい?

鉄部は毎月細かく点検する必要はありません。
ただし、建物全体の点検を行うタイミングでは、鉄部の状態もあわせて確認することをおすすめします。
例えば、
・梅雨明け
・台風シーズンの前後
・外壁や屋上の点検時
・定期点検や巡回点検のタイミング
などは、鉄部も確認しやすい時期です。
特に築年数が経過した建物では、小さな劣化が複数の場所で同時に進んでいることもあります。鉄部だけを見るのではなく、建物全体の状態を確認することが、計画的な修繕につながります。
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サビは「修繕」よりも「早めの確認」が大切です
鉄部のサビは、建物からの小さなサインです。サビを見つけたからといって、すぐに大規模な工事が必要になるとは限りません。
大切なのは、「今どのくらい劣化が進んでいるのか」を把握することです。
建物の修繕は、鉄部だけを個別に考えるものではありません。
外壁や屋上防水、シーリングなど、ほかの部位の状態もあわせて確認することで、本当に優先すべき修繕が見えてきます。
「サビがあるから塗装をする」ではなく、「建物全体を見て、今必要な修繕を判断する」。その積み重ねが、建物を長く維持し、将来の修繕費を計画的に考えることにもつながります。
夏は鉄部の劣化が進みやすい季節です。この機会に一度、建物の鉄部の状態を確認してみてはいかがでしょうか。
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