「貸主に課される土地工作物責任」

 

 

1月1日に起こった令和6年能登半島地震。

 

 

一番被害の大きかった石川県では、2月8日の時点で建物の全壊・半壊・一部破損が58,855棟、

 

 

亡くなられた241名のうち、倒壊した建物の下敷きになったことによる圧死が全体の4割に上るそうです。

 

 

揺れに強いとされる鉄筋コンクリート造りのビルが根元から倒れている様子を見て、

 

 

この度の地震の威力に驚かれた方も多かったことでしょう。

では、今回のような地震がまた発生し、皆さまが所有されている賃貸物件が倒壊して、

 

 

不幸にも入居者の方がお亡くなりになられたとします。

 

 

「自然災害だから不可抗力であり、自分(貸主)の責任ではない…」で、果たして済むでしょうか?

 

 

平成7年に発生した阪神・淡路大震災により中古賃貸マンションの1階が押し潰され、

 

 

賃借人が死傷した事案において、平成11年9月20日に神戸地方裁判所が下した判決が参考になります。

 

 

簡単にまとめると経緯は以下の通りです。

 

 

オーナーA氏が昭和39年に補強コンクリート造として建築されたもの昭和55年に取得し、

 

 

賃貸に供していたが、実は設計施工上の欠陥があった。

 

 

築31年の時点で阪神・淡路大震災が起こり、マンションの一階部分が押し潰され、

 

 

賃借人7名が死傷した。

 

 

遺族らが本件建物に瑕疵があったとして、オーナーA氏に対し安全な建物を賃貸すべき義務の

 

 

債務不履行及び土地工作物責任に基づき提訴。(※媒介業者に対する提訴内容は割愛)

 

 

オーナーA氏は本件建物は昭和39年当時の建築基準法に適合しており、

 

 

倒壊は震度7を超える地震という不可抗力によるもので責任はないと主張した。

 

 

それに対し裁判所は、『本件地震は現行の設計震度をも上回るものであったが、

 

 

通常有すべき安全性を備えておれば、倒壊状況は大いに異なると考えられるから、

 

 

賃借人らの死傷は不可抗力によるものと言えず、設置の瑕疵と地震とが競合して原因になっている」と判断。

 

 

地震の損害発生への寄与度を5割と認めた上で、オーナーA氏に【土地工作物責任】があるとし、

 

 

総額約1億2,900万円の支払いを命じた。

 

 

【土地工作物責任】とは民法717条に定められている責任で、

 

 

『土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、

 

 

その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

 

 

ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、

 

 

所有者がその損害を賠償しなければならない』というものです。

 

 

また、【土地の工作物の設置又は保存の瑕疵】とは、土地の工作物が本来備えているべき

 

 

安全性を欠く状態のことをいいます。

 

 

オーナーA氏が建物の定期点検を行い、安全性を欠かないよう修繕をしていれば、

 

 

被害はここまで大きくならなかったと予想されます。

 

 

つまり、適切に建物の維持・管理を行い、安全性を欠かないよう修繕することは、

 

 

オーナー様に課された一種の義務と言えます。

 

 

自然災害が多くなっている昨今、リスクを最小限にするためにも、

 

 

まずは所有物件の点検をされることを強くお勧めします。

 

 

弊社では資格者による建物の無料点検を承っております。

 

 

強引な勧誘は一切いたしませんので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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