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新築のマンションには、新しい設備や現在の暮らしに合った機能など、新築ならではの良さがあります。
一方、築年数を重ねたマンションでは、外壁や防水、設備などの劣化が進み、修繕が必要な場所も増えていきます。
では、長く使われてきた建物を「古くなった」という一面だけで捉えてよいのでしょうか。
「新築の物件にはなくて、長く使われてきた物件にあるもの」とは何か。今回は、築年数を重ねた建物について、少し違う角度から考えてみます。
①|既存のマンションを長く使うという選択肢

築年数を重ねたマンションが増えるなか、既存の建物をこれからどう使っていくかは、社会全体でも課題となっています。
国土交通省では、高経年マンションの増加を背景に「マンションストック長寿命化等モデル事業」を実施しています。長寿命化につながる改修や建替えなど、マンションの再生に向けた先導的な取り組みを支援する事業です。
マンションの今後は、建物の状態や費用、所有者の意向などによって変わります。必要な改修を行いながら長く使う場合もあれば、建替えを検討する場合もあります。
既存の建物をどう維持し、これからも活用していくか。高経年マンションを所有するオーナーにとって、現実的に考えていきたいテーマのひとつです。
②|同じ築年数でも、「これまで」は違う
たとえば、同じ築30年のマンションが2棟あったとしても、その30年間の使われ方や管理の状況まで同じとは限りません。
外壁や防水の修繕、鉄部の塗装、設備の交換など、これまでどこに手を入れてきたのか。どのような入居者に利用され、どのように管理されてきたのか。建物によって、その経緯はそれぞれ異なります。
長く使われる中で、建物や敷地になじんできたものもあるでしょう。年月をかけて育った植栽や、周辺の街並みとの関係など、新築時とは違った姿になっている部分もあります。
築年数から分かるのは、建物が完成してから経過した年数です。その間にどのように使われ、手を入れられてきたのかという「履歴」は、一棟ごとに違います。
③|長く所有してきたからこそ分かること

その履歴をよく知っているのが、建物を長く所有してきたオーナーです。
自分で購入して賃貸経営を続けてきた方もいれば、家族から物件を引き継いだ方もいるでしょう。修繕や設備交換など、その時々で判断を重ねてきた経験も物件によってさまざまです。
リノベーション協議会では、工務店を営んでいた父親が建てた築45年の建物を、子世代のオーナーが受け継ぎ、賃貸として活用した事例を紹介しています。
この事例では、父親が手をかけた造作や既存の家具などを活かしながら、店舗として必要な水回りや空調を中心に改修しています。
もちろん、すべての物件にこうした特別な背景があるわけではありません。それでも長く所有してきた物件には、「ここは以前に修繕した」「この部分は昔から変わっていない」といった、そのオーナーだから把握していることがあります。
それは単なる思い出ではなく、その建物がこれまでどう使われてきたのかを知るための情報でもあります。
④|「古い」だけでは測れないもの
築年数は、建物の状態や維持管理を考えるための重要な情報です。古くなった部分には必要な手を入れ、今後の運営について現実的に考えていく必要があります。
一方で、長く使われてきた建物には、新築時にはなかった履歴があります。これまでの管理や修繕、使われ方はもちろん、長い年月の中で残ってきたものも一棟ごとに異なります。
新築には、新築ならではの良さがあります。
そして築年数を重ねた建物を見るときには、新しさと比べるだけではなく、「この建物には何が残り、どんな経緯をたどってきたのか」という見方もできます。
「古い」という言葉だけでは分からない、その物件ならではの部分にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい
マンションの良さを活かす|残す・直す・高める3つの考え方
参考資料
・国土交通省「マンションストック長寿命化等モデル事業」
・リノベーション協議会「ありのままで、愛され貸(たい)」
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