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所有するマンションやアパートの築年数が進んでくると、
「この建物をあと何年使えるだろう」
「これからどこまで手をかけるべきだろう」
そんなことを考える機会が増えてくるのではないでしょうか。
建物は年月とともに変化し、建物や設備には少しずつ劣化が生じます。そのため、築年数は建物の状態やこれからを考えるうえで、大切な情報のひとつです。
一方で、建物を「古くなった」という視点だけで見てしまうと、すでにその建物が持っている良さを見落としてしまうことがあります。
今回は少し視点を変えて、「築年数を重ねた建物の”価値”」について考えてみます。
①|時間の経過で生まれる価値

国土交通省では、歴史的建造物の保存・活用について、建築物は経年によって耐久性や機能性が低下する一方、時間の経過とともに歴史的価値が高まったり、市民の愛着が深まったりするなど、多様な価値が顕在化してくると紹介しています。
もちろん、ここで取り上げられているのは歴史的・文化的な価値を持つ建築物です。一般的なマンションやアパートに、そのまま当てはめられる話ではありません。
ただ、ここから見えてくるのは、「建物にとって時間の経過は”古くなる”という一方向の変化だけではない」という考え方です。
年月を重ねることで失われるものがある一方、その時間があったからこそ残っているもの、生まれているものもあります。
②|古い建物に残っているもの

では、普段私たちが目にするマンションやアパートでは、どんなものが考えられるでしょうか。
たとえば、建てられた時代ならではの間取りや素材。ゆったりとした敷地や住棟の配置。長い年月をかけて育った植栽や、周辺の街並みとのなじみ。日当たりや風通しなど、建物がもともと備えている住環境の良さも、そのひとつかもしれません。
京都・観月橋団地の例
こうした「今あるもの」に目を向けた事例のひとつが、京都市伏見区にあるUR都市機構の「観月橋団地」です。1962年に入居が始まった観月橋団地では、長い年月を経た団地を活かしながらリノベーションが行われています。
広い敷地や豊かな緑、南向きの明るい住戸など、もともと団地が持っていた住環境を活かしていることも特徴です。
長い年月をかけて育った樹木や、ゆとりを持って配置された建物などは、新しくつくり直すだけでは簡単に得られないものです。
「今ある建物や環境に目を向けることで、その建物ならではの魅力が見えてくる。」
観月橋団地は、そんな見方ができる事例のひとつです。
③|自分の物件を見る3つの視点

築年数が進んできた物件を所有しているなら、一度いつもとは違う角度から建物を見てみてはいかがでしょうか。
ポイントは、次の3つです。
1. 建物そのものを見る
間取りや素材、建物のつくりなどに、今も活かせそうな特徴はないでしょうか。
新しい建物と比べるだけではなく、「この建物だからこそ持っているもの」という視点で見てみます。
2.建物のまわりを見る
日当たりや風通し、敷地のゆとり、育ってきた緑、周辺環境との関係なども建物を形づくる要素です。
建物の中だけではなく、敷地全体や周辺まで視野を広げてみると、これまで気づかなかった良さが見えてくるかもしれません。
3.これまでの使われ方を見る
同じ築年数の建物でも、これまでどのように使われ、管理され、手を入れられてきたかはそれぞれ異なります。
建物が歩んできた時間も、これからを考えるための大切な情報です。
④|築年数だけで建物を見ない
築年数は、建物を見るための大切な指標です。
その数字とあわせて、
「この建物には、今どんなものが残っているだろう」
と考えてみることも、これからの建物運営を考えるひとつのきっかけになります。
築年数という数字だけでは見えない、その建物ならではの特徴に目を向けてみる。
それが、これからの建物について考える最初の一歩になるかもしれません。
次回は、今ある建物をこれからどう活かしていくか、「建物再生」の考え方についてご紹介します。
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参考資料
・国土交通省「歴史的建造物の保存・活用事例」
・UR都市機構「KANGETSUKYO DANCHI(観月橋団地)」
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